大平 祐介

長野工業高等専門学校

大平 祐介
長野工業高等専門学校技術支援部 第二技術班
(2004 年度採用)
 
主な仕事:学生実験実習の指導補助・教材づくり、

サーバーや学生用コンピュータの管理など

長野工業高等専門学校について

はじめに今回取材した長野工業高等専門学校(以下「長野高専」)について、簡単に説明します。
長野工業高等専門学校は、1963 年4 月に長野県長野市に開設され、今年で創立48 周年を迎えました。現在、本科5学科(機械工学科、電気電子工学科、電子制御工学科、電子情報工学科、環境都市工学科)、専攻科2専攻(生産環境システム専攻、電気情報システム専攻)を擁しています。
大平さんが所属している技術支援部は、学生に対し金属加工や機械の実習を行う第一技術班、学生に対し情報処理に関する実験を行う第二技術班、及び主に産学連携で研究活動を行っている第三技術班の3班体制で組織されています。そんな長野工業高等専門学校に、今回お邪魔させていただきました。

大平さんとの御対面

左側の方は佐藤優介さん 左側の方は佐藤優介さん

まずはじめに大平さんが普段いらっしゃるオペレータ室に向かうと、大平さんと同僚の佐藤優介さんが笑顔で挨拶をしてくれました。その後、大平さんに情報教育センターの部屋を案内していただきました。中を覗くとwindows7を搭載したパソコンがずらりと並んでいました。大平さんによると、これらのパソコンは今年の3月に総入れ替えをしたそうです。埃がなく綺麗な部屋に、驚いてしまいました。

情報教育センター内部 情報教育センター内部

ちなみにこの部屋では、授業以外に公開講座など地域の方を対象に使用することもあります。この後、大平さんにインタビューしました。その内容は後ほど・・・

高専といえば、ロボコン!

インタビュー後、長野高専の人事担当者に案内されて、校内の施設を見学してきました。はじめに案内されたのが、ロボコンプロジェクトです。ここでは、10月2日(日)に山梨県大月市で行われる全国高等専門学校ロボットコンテスト関東甲信越地区大会に向けて、ロボット製作をしているところでした。自分が行った時は、お盆前ということもあり、学生の多くが実家に帰省していたため、学生があまりいませんでした。
ちなみに2010 年度は、関東甲信越地区大会で初優勝し、全国大会でも特別賞をもらいました。昨年に続き、今年も地区大会を突破して、両国国技館で行われる全国大会に出場できることを祈っております。

これからの高専とは?

続いて案内されたのが「地域共同テクノセンター」です。この施設は、長野県の地元企業との連携をより一層強化することを目的に2000 年4 月に設置された施設です。
訪問したこの日は、「3次元CADによるプレス金型設計講座」という講座が開かれていました。この講座では、工業製品の部品を造るための型を造るために、CADというソフトを使って設計図を作ることを勉強しています。各企業から参加している方々は、四苦八苦しながら習得しようと努力されているのが、印象に残りました。
このように現在、全国の高専では自身の持つ知的資源を活用して、地域を中心とする産業界や地方公共団体に対し、技術提供や共同研究、また受託研究への取り組みを促進し、地域性を踏まえた事業を積極的に行っています。この事業に教育・研究支援系の技術職員も大きく関わっています。高専の役目は、学生への教育のみならず、地域社会に対する貢献もあります。いかに貢献していくかが、これからの高専の発展を左右するともいえます。

技術教育センター訪問

背を向けて立っているのが加藤さん 背を向けて立っているのが加藤さん

高専の技術職員には、電子・情報区分で採用された大平さん以外にも、機械区分で採用された方もいます。そこで、次にその方が働いているところを見学するために、技術教育センター(以下「センター」)を訪問しました。
案内していただいたのは、技術支援部第一技術班の加藤さんです。
ちょうど、センターでは技術職員の方が、6面スライス加工をしているところでした。今回は、旋盤、溶接、木工、そして鋳造の部屋を見学してきました。

特に印象に残ったのが、鋳造室です。現在、鋳造実習を実施している高専が少ない中、長野高専では実施しているとのことです。鋳物を造る鋳造は、鋳物の型である木型を作った後、その木型で砂型を作り、そこに溶解炉で溶かした金属を流し込んで製品にします。こちらでは、鋳造室の溶解炉にるつぼ炉(コークス炉、ガス炉)、電気炉が置かれています。何百度から千何百度にもなる溶かした金属は、鋳造実習で砂型に流し込む際は、とても緊張するようです。

大平さんへのインタビュー

大学時代はロボット工学を専攻していたという大平さんに「仕事のやりがい・魅力」「仕事で苦労したこと」「これから国立大学法人等職員を目指す方へのメッセージ」などを伺いました。

―この仕事に就いた動機は何ですか。

3つありまして、1つ目はこの学校(長野工業高等専門学校)を訪問した際、職場の雰囲気が良かったことです。2つ目は、普段は仕事以外の時間がきちんと取れることです。夜遅くまで残業することがありませんし、あまり周りの人々に気を遣うこともなく先に帰れます。3つ目は、基本的に異動がないので落ち着いて仕事ができると思い志望しました。

―実際に技術職員になられて、職場の雰囲気はどうですか。

第二技術班は、主査と他に自分を含めた4名で構成されています。班の中では上司・部下という雰囲気もなく、それぞれ対等な立場で話をできるのが良いです。少なくとも第二技術班について言えば、個人ごとの仕事であることが多く、自分のペースで仕事を行うことができます。そのため現在のところほぼ定時で帰ることができます。

―この職に就かれて、苦労したこと、または大変だったことがありましたか。

今年に入ってからなのですが、パソコンを管理するサーバーを新たに作ることになったことに加え、各パソコン端末室のOSをwindowsXPから7(セブン)へ総入れ替えすることに伴い、仕様書策定や機種探しも同時に行いました。さらに入れ替え作業で特に忙しい時期である3月に実家のある福島県いわき市で大地震が発生したことやインフルエンザにまでかかり、心身ともに弱っていて、本当にあの時は大変でした。ちなみに、実家は大きな被害を受けませんでした。

―御実家が、地震や津波の被害を大きく被らなくて、良かったですね。次に、この仕事のやりがいや魅力がありましたら、教えてください。

プログラミングの実習の際、学生も最初は何もわからないので、細かいところまで教えるのですが、実習を重ねるうちに少しのヒントだけで、学生自身が自分でできるようになっていった時は、嬉しいですね。また、授業の教材づくりの際に、学生に関心をもってもらうために学生誰もが知っているゲーム音楽を入れてみたりしています。授業当日にそれを流して大きな反応があったり、それまであまり興味がなかった学生が興味を持ってくれたりした時には、教材を作った甲斐があります。

―今の仕事をされていて、思い出に残ったことがありましたら教えてください。

年に2回クラス対抗の球技大会があります。その時には教職員もチームとして参加するのですが、他の教職員の方や学生が授業の時とは違った顔を見ることができることが印象に残っています。

―最後に技術系職員を目指すみなさんにメッセージをお願いします。

高専の技術職員に限って言えば、各高専が求める人材はさまざまなので、何を求めているかきちんと見極められるようになってほしいです。その為には、各高専の授業を見学する機会があれば積極的に参加することが大事です。